和く輪くとは
和の酒造りプロジェクト
「アルコールは世界中の土地の文化や風土を反映するものであり、日本酒には発酵を進める酵母の働きを利用するという独特の技法がある。その結果同じ米でも杜氏、水、温度により辛口、甘口などの味の変化を楽しめる」と、フィリップ・ハーパー杜氏は述べています。
大衆文化の栄えた江戸時代は、日本酒が大いに飲まれた時代でもあったといいます。しかし、近年は時代の変化に伴いアルコールの種類も、飲み方も大きく変化してきました。こういう現実を背景に、我々の仲間であるハーパー杜氏を中心にして日本独自の技法・文化を持つ「日本酒」を見直そうという、大胆な企画を立案したと言う次第です。
そこで登場したのが「和く輪く」です。米農家の方から蔵元、杜氏に至る愛情とエネルギーで仕上がった日本酒を、酒屋さんを通じていろいろな形で飲み手に届くという「輪の大切さ」、そしておいしいお酒を口にして「和やか」な気分に浸れるという願いを込めて名付けました。この企画では酒屋さんを通さずに、我々の友人・仲間が中心となり、出来るだけ多くの人に「世界に類を見ない日本酒造りの伝統、その伝統に裏打ちされたおいしさ」を伝えるメッセンジャーとして動いてもらおうというものです。
2008年には、いろいろな料理とお酒の相性を楽しむという主旨で、「和く輪く倶楽部」が誕生しました。今後は蔵元である「木下酒造」の助言と協力を仰ぎながら、更に楽しい企画を増やし、国籍を問わず多くの人達に日本酒の飲み方、楽しさを知って頂きたいと考えています。
山田 文男: 美山粋仙庵主・美山おもしろ倶楽部代表
古瀬 伸二:「和く輪く倶楽部」代表
小山田宗弘:「大阪・三堀」「和く輪く倶楽部」事務局長

「和く輪く」の米について
清水さんの作る「日本晴」
「和く輪く」のふたつの「ワ」には、「蔵の和」と「日本酒のサイクル(輪)」という意味がこめられています。「酒造り」とはいっても、造ってそれで終わりという仕事ではありません。私たちが造った酒は、丁寧に瓶詰めし、出荷管理をして世に送り出してくれる人たちの手に渡ります。さらにそこから、きちんと商品管理をしてくださる小売屋さん、料理との相性や適温を考え、お客様に提案してくださる飲食店の方々の手に。その酒を手にしたお客様が口に含み、にっこり笑って「美味しい」と言ってくださった瞬間、はじめて日本酒の輪が完成します。
さて、お客様は造りの後で輪を完成させてくださるわけですが、輪の出発点は酒を造る前の「米作り」にあります。日本酒の父は水、母は米と言われます。「和く輪く」の仕込水は、木下酒造の裏にある山の湧き水。米は滋賀県の米農家、清水光男さんが栽培している「日本晴」です。
肩書きが「百姓」の清水さんは、約25丁の田圃でコシヒカリとヒノヒカリを中心に作っています。そういった食米以外に、酒造り用の品種を作るベテランでもあります。有名な山田錦の栽培経験もありますが、「和く輪く」にも使用している「日本晴」と、滋賀県産の酒造好適米「玉栄」が多いそうです。
清水さんの米は精米する際に割れが少ないため、米が水を均一に吸ってくれて、原料米処理が楽です。「和く輪く」も今年度で4回目。清水さんが真面目に作った米のおかげで、毎回いい酒ができています。
清水家の米の味わう方法はふたつあります。まず「和く輪く」を飲んで、間接的に味を見ること。もうひとつは、清水さんから直接、食用米を購入すること。清水さんは消費者への直売をしているので、興味のある方はぜひ一度お電話してみてください。
清水光男 0740-33-0560
ラベルについて
「和く輪く」のラベルの字を書いてくださった作田豊先生と知り合ったのは、私が英語教師として来日した十五年以上前のことです。当時、大阪南高等学校で書道を教えておられた作田先生は、日本語ができない私に何かと親切にしてくださいました。日本で迎えた最初の夏に、富士登山に連れて行っていただいたことは楽しい思い出です。先生の書かれた「輪」の字の「侖」の部分、少しかしいだ藁葺きの小屋のような何とも言えない風情が、私はとても気に入っています。皆さんはいかがですか?



